胡蝶蘭の押し花
基本はゆるく、ときに忙しく、初めてのことばかり経験させてくれる居心地のよい今の職場は、今年4月に開業したばかりの事務所です。
わたしは開所と同時に働き始めたスタートアップメンバーということで、最初のうちは荷ほどきをしたり、ダンボールをたたんで潰して紐で締め上げたり、届いたお花のお世話をしたりといった雑用に追われました。
真新しいオフィスカジュアルに身を包んで通勤しつつ、事務所についたら即ジャージに着替え、汗をかきながら麻紐やお花、それにまとわりつく大量のコバエと格闘し「わたしは引越し屋さんかな?お花屋さんかな?」という日々を過ごしたことも、もはや懐かしい…!
そんなわたしを癒してくれていたのは、先生のお人柄でしょう、たくさーん届いた開所祝いの胡蝶蘭。
本当に本当に可愛かったけれど、その数は20鉢超えており、狭い会議室の半分を占めてしまうほどなので、仕事に支障が出始め…( ; ; )
手放す前に、少し摘んで、押し花にしてみることにしました。
サンドペーパーも押しマットも、特別なものは何ひとつ買わず使わずやってみたので、記録として残しておきます。
* * * * *
まず、押し花にしたいお花の狙いを定めたら、
根本に一周切れ込みを入れるような感じで、ぐるりとカッターを当てて
きれいに、傷がつかないように、切り離します。
小さくても傷がつけばその部分の色が悪くなります。
力を入れすぎるとすぐこの茎(?)が取れ向こうの花びらに刃がぶつかってしまうので、少しずつ、軽く当てるのがよろしです。
これを繰り返しますと、
まあかわいい!
胡蝶蘭は品があって、繊細なかたちをしていて、本当にふつくしい…ため息が出てしまうね♡
さて、押し花にしたいお花が揃ったら、下の写真のようにパーツ分けします。
この通りじゃなくても、もちろん大丈夫なのですが。
押すときはなるべく重ならない方が良く、また押しあがったあと合わせる際にはあんまりバラバラだとやりづらかろうと思ったので、こんな感じにしてみました。
また、右上のちまっとしたパーツも押しましたが、乾燥後はしょぼくれて、他のパーツと合わせてもピンとこなかったため、結局処分してしまいました。
上手なひとは全てきれいに押して組み合わせるのかも。
ちなみにわたしは、花びらを傷つけないため、このパーツを手に持って切り離し作業しました。
非常に役立ってくれましたが、恐らく完成形には要らないので。最後に根本からきれいにぐるりと切り離してさよなら。ありがとうねー!
ひたすら、傷をつけないようにだけ気を付けて、作業すること30分。
(パーツ分け中はさすがに写真撮るの無理だった)
このようにパーツ分けが終わったら、指の腹でやさしーく、爪で傷をつけないように気をつけながら、全体を押します。立体的な花びらを少しずつ少しだけ伸ばして、平らにするイメージです。
こうすると花びらの端がヨレたりするのを防げるし、押したとき水分が抜けやすくなるみたいです。
また、お花のかたちをしている(パーツ分けしていない)ものは、「これできれいに押せるんならそれが1番ラクだし良いよな」と思い、実験的にそのまま押してみたものです。
結果、なかなか水分が抜けなかったり、バランスの悪い配置のまま押してしまっていて修正できなかったり。きちんとバラバラにしていれば、あとから良い感じに組み合わせたり配置したりっていうところの自由度が高いので、面倒でもパーツ分けは必須だと思います。
ちなみに、一番面倒かつコツが要るな、と初心者ながらに思ったのは、このパーツ。
リップたん!
左上の、くるんと立体的なパーツです。厚みがあるため、無理に広げようとするとぱきんと折れます。
折れても押せないことはないけれど、やっぱり見栄えが劣る気がしますので、わたしはしんなりとするまで待ったあと(まる1日とか、大きいものだと2日とか)折れないように慎重に根本からゆっくり指の腹で広げてから、押しました。
そして、右下のM字パーツは、小さいながらに厚みが結構あったので
縦半分を目安に薄く切り、押しました。
無理やりそのままの厚みで押してみたものもあるんだけど、やっぱり潰れてよくわからないことになってしまって。薄切りするの、おすすめです。
こうしてパーツ分けと押しやすいようにする加工を終えたら、重ならないようティッシュに並べ(ティッシュでふたもします)新聞紙でつつんで、タウンページにはさんで、
1ヶ月以上、放置しました 笑
数日経ったところで経過を見ようとしたら、半端に乾き始めた花びらが何故かくるくると巻いてしまったりして、元に戻すのに大変苦労しまして…
それに懲りて、 もうどう考えたって乾燥しているだろうというタイミングまで待ちました。
完成品はこちらー!
わーい!
こんな講釈垂れておいてアレなのですが、初押し花なので、まあまあかたちになって本当に嬉しいですー!
色付きのもの、加工時点で少し古くなっていたもの、加工途中で傷付けてしまった箇所は、変色してしまいました( ; ; )左上の大きいものが良い例ですね、これ、パーツ分けのところで例に出した、きれいな紫の子です。。押し花用マテリアルを利用して乾燥時間をぐんと短くすれば、きっときれいに色が出るのでしょうね。
とはいえ、わたしには栞と便箋を作る以外の用途はないので、これでじゅうぶんだなーと思っております♡
今回、お世話をするために少し勉強して初めて知りましたが、胡蝶蘭って非常に繊細なお花なんですね。
先生とも相談しつつ悩みに悩んだ結果、特別な知識も環境もないここに置くより、ということで、お花が大好きで自宅に小さい温室まで拵えたという方と、介護施設で働く方などに引き取っていただくことになりました。
これも初めて知ったのですが、こういった(終わりかけの)植物の鉢って、元から植物が好きな入所者さんの趣味に活かせるのはもちろん、「来年また花を咲かせるようにと育てる喜び」というのが認知症にはとても良いらしく、重宝されるそうです。
この上ない方々にもらっていただけて良かったー!
もう目にすることはないけれども、ぜひ来年もきれいな花をつけてくれますように。
栞もきれいにつくるぞっと ☺☻☺